
<目次>
第1章 CKD-MBD診療ガイドラインレビュー
第2章 カルシミメティクス
A) カルシミメティクスをめぐる最新のエビデンス
B) カルシミメティクス治療の問題点
第3章 ビタミンD療法のUp-To-Date
第4章 カルシミメティクス時代の副甲状腺摘出術の意義と位置付け
はじめに
カルシミメティクスは副甲状腺に発現するカルシウム(Ca)受容体に作用して副甲状腺ホルモン(PTH)分泌を抑制する。カルシミメティクスはPTHだけでなく血中Ca濃度も低下させることから、これまで多くの臨床的有効性が示されてきた。国内で臨床応用された3種類のカルシミメティクスについて最新のエビデンスをまとめる。
1.シナカルセト
シナカルセトと活性型ビタミンD製剤を併用することにより活性型ビタミンD製剤の減量が可能となり、血清Ca、リン(P)を良好に管理しながらPTH管理が可能となる。併用が臨床的に優れた根拠として、副甲状腺細胞のCa受容体のみならずビタミンD受容体発現も増加して両薬剤の反応性が向上する機序が想定されている1)。
国内の大規模コホートであるMBD-5D研究では、シナカルセトの開始と活性型ビタミンD製剤の減量の併用により、PTH低下効果に加えて血清Ca、P低下効果を高め2)、この併用パターンで試験デザインした海外のADVANCE試験では冠動脈や大動脈弁石灰化の有意な進展抑制が認められた3)。
生命予後への影響では、海外のランダム化比較試験として実施されたEVOLVE試験の主解析で有意な死亡リスクの低下は見られなかった。この背景として、高率な脱落、市販のシナカルセトの使用、両群間における患者背景の違い、動脈硬化性病変と非動脈硬化性病変を混在して解析した、などの問題が浮上した。そこで動脈硬化性病変の有無で群分けしたサブ解析では、シナカルセトは非動脈硬化性病変(心不全、脳卒中、突然死など)のイベント減少と関連した4)。また年齢で層別したサブ解析では、65歳以上では治療群で主要評価項目である全死亡、心筋梗塞、末梢動脈疾患発症の有意な減少を認めたのに対して、65歳未満群ではいずれのイベントも治療の有無で差を認めなかった5)。シナカルセトの骨折に対する効果はEVOLVE試験の主解析で証明されなかったが、患者背景を調整したサブ解析で骨折リスクの有意な低下と関連した6)。MBD-5D研究でもintact PTHが500pg/mL以上の進行した二次性副甲状腺機能亢進症に対してシナカルセトは全死亡リスクの51%低下との関連を認めた7)。
2018に発表されたEVOLVE試験の血中Ca濃度に関するサブ解析では、少なくとも1回の低Ca血症を呈した割合はシナカルセト群と対照群で58.3%、14.9%であり、主要評価項目(死亡、心筋梗塞、心不全、狭心症入院、末梢動脈疾患)に及ぼす低Ca血症の影響は見られなかった。また低Ca血症のエピソードは一過性であり、シナカルセト減量、ビタミンDやCa含有リン吸着薬増量などの処置をせずに自然に回復した割合が多かった8)。国外では2004年から、国内では2008年から臨床応用されているシナカルセトは多くのエビデンスが蓄積された豊富な臨床実績を有する薬剤である。
2.エテルカルセチド
エテルカルセチドは新規に開発された静注用Ca受容体作動薬で、2017年2月に世界に先駆けて日本で上市された。第一の特徴は静脈内に投与する注射剤であり、消化管に直接作用しないことから、消化器系副作用が軽減する可能性がある。第二の特徴として、D-アミノ酸ペプチド骨格を有するため生体内でほとんど代謝を受けず、腎排泄型であることから長時間にわたって血中PTH濃度を低下させることが可能である。投与後8~12時間で血中Ca濃度が低下するシナカルセトと異なり、投与後数時間のエテルカルセチドの血中Ca濃度低下は緩やかである。エテルカルセチドは血液透析により除去されるが、血中エテルカルセチド濃度は4週以降定常状態になる9)。初回投与と4週間の反復投与を比較すると、血中PTHの低下はほぼ同様で、血清Ca濃度は4週後やや低下傾向を認め、低下率は-12.75%であった10)。
国内の第Ⅲ相プラセボ対照無作為化比較試験では、intact PTH >300pg/mLの血液透析患者に対してエテルカルセチドもしくは対照薬を12週間投与した。エテルカルセチドの開始用量は5㎎週3回で、PTHや血清Ca濃度に応じて調整した。主要評価項目である管理目標PTH濃度の達成率は治療群、対照群がそれぞれ59.0、1.3%と有意に高値であった。また血清補正Ca値も対照群に比較して有意に低下した11)。投与量の内訳をみると、21例中5㎎が8例、7.5㎎が1例、10㎎が8例、15㎎が4例で、半数以上の1回投与量が5~10㎎であった12)。海外のシナカルセトを対照にしたランダム化無作為化比較試験(RCT)では、主要評価項目であるintact PTH濃度が前値から30%以上低下した割合においてエテルカルセチド群がシナカルセト群に対する非劣性を認めた。さらに副次評価項目であるPTH低下>50%かつ>30%は、エテルカルセチド群のシナカルセト群に対する優位性が示された13)。エテルカルセチドは透析中のCa変動がシナカルセトより少なく、国内臨床試験では292例中低Ca血症発現は3例(1.0%)で、副作用としてQT延長は報告されていない。しかしこのRCTでは、血清補正Caが8.3㎎/dl未満の発症割合はそれぞれ17例(5.0%)と8例(2.3%)と減少を示さなかった13)。
3.エボカルセト
エボカルセトはシナカルセトの臨床的課題である消化器症状の軽減、薬物相互作用の改善を目的としてシナカルセトと同等の薬物動態プロファイルの薬剤を目指して開発された。維持血液透析患者を対象とした国内第Ⅱ相用量反応試験では、エボカルセト0.5、1、2㎎およびシナカルセト25㎎を1日1回3週間投与した結果、用量依存的なPTH濃度、血清補正Ca 濃度の低下を認め、PTH濃度低下率はエボカルセト2㎎とシナカルセト25㎎が近似していた14)。補正Ca低下が本剤2㎎群で3例認められ、開始用量は通常1㎎で、intact PTH が500 pg/mL 以上かつ血清補正Ca 濃度が9.0 mg/dL 以上では2㎎からの開始用量に設定された。
エボカルセトとシナカルセトの第Ⅲ相比較試験では、intact PTH 濃度平が60 pg/mL 以上240 pg/mL 以下を達成したPTH管理目標達成割合はエボカルセトが72.7%、シナカルセト群が76.7%とエボカルセトのシナカルセトに対する非劣性が証明された15)。安全性では悪心、嘔吐、腹部不快感、食欲減退などの上部消化管障害発現割合もそれぞれ18.6%、32.8%と本剤がシナカルセトに比べて低値であった。
第Ⅲ相長期投与試験では、開始用量は1 mg(事前検査時のintact PTH 濃度が500pg/mL 以上かつ血清補正Ca 濃度が9.0 mg/dL 以上の場合は2mg)とし、intact PTH 濃度を60 pg/mL 以上240 pg/mL 以下の範囲に管理することを目標に1~12mg の範囲で用量を調整した。その結果、管理目標PTH濃度の達成割合は0週の40.9%から52週後では72.3%に達した。血清補正Ca濃度も安定して推移し、52週後は8.90±0.57 mg/dL であった14)。
エボカルセトの胃排出能はラットを用いた検討により、シナカルセトで見られた濃度依存性の抑制作用を明らかに改善した。またシナカルセトがPTH低下濃度の3倍、10倍の投与量増加で嘔吐発現が各々0、6例であったのに対してエボカルセトは10倍、30倍の投与量増加でも嘔吐発現が0、1例とシナカルセトより嘔吐マージンを拡大した16)。国内臨床試験でも先述のように上部消化管症状の発現率は明らかに減少しており、シナカルセトの上部消化器症状により増量困難、あるいは投与困難な患者に対する切り替え投与で副作用の軽減が期待される。
以上からエボカルセトはシナカルセトと同等のPTH、Ca低下作用とシナカルセトに比べて上部消化器症状の発現が軽減しており、投与量が1~12mgと幅広くPTH濃度低下率から換算するとシナカルセトに比べて低用量からの開始やより高用量の投与が可能であり、様々な程度の副甲状腺機能亢進症に対応可能な薬剤と考えられる。
おわりに
3種類のカルシミメティクスの特徴について最新のエビデンスを中心まとめた。CKD-MBD管理を容易にしたカルシミメティクスは新規薬剤の登場によりこれまで投与できなかった対象にも拡大することが予想される。カルシミメティクスが問題点をクリアし、今後も新たなエビデンスを蓄積しながらCKD-MBD管理の向上に寄与することを期待したい。
文献
- Rodriguez, ME, Almaden Y, Canadillas S, et al. “The calcimimetic R-568 increases vitamin D receptor expression in rat parathyroid glands.” Am J Physiol Renal Physiol 292: F1390-1395, 2007
- Fukagawa M, Fukuma S, Onishi Y, et al. Prescription Patterns and Mineral Metabolism Abnormalities in the Cinacalcet Era: Results from the MBD-5D Study. Clin J Am Soc Nephrol 7: 1473-1480, 2012
- Raggi P, Chertow GM, Torres PU, et al. “The ADVANCE study: a randomized study to evaluate the effects of cinacalcet plus low-dose vitamin D on vascular calcification in patients on hemodialysis.” Nephrol Dial Transplant 26: 1327-1339, 2011
- Wheeler DC, London GM, Parfrey PS, et al. EValuation Of Cinacalcet HCl Therapy to Lower CardioVascular Events (EVOLVE) Trial Investigators. Effects of cinacalcet on atherosclerotic and nonatherosclerotic cardiovascular events in patients receiving hemodialysis: the EValuation Of Cinacalcet HCl Therapy to Lower CardioVascular Events (EVOLVE) trial. J Am Heart Assoc 17 (6): e001363, 2014
- Parfrey PS, Drueke TB, Block GA, et al. Evaluation of Cinacalcet HCl Therapy to Lower Cardiovascular Events (EVOLVE) Trial Investigators. The Effects of Cinacalcet in Older and Younger Patients on Hemodialysis: The Evaluation of Cinacalcet HCl Therapy to Lower Cardiovascular Events (EVOLVE) Trial. Clin J Am Soc Nephrol 7: 791-799, 2015
- Moe SM, Abdalla S, Chertow GM, et al. Effects of cinacalcet on fracture events in patients receiving hemodialysis: The EVOLVE Trial. J Am Soc Nephrol 26: 1466-1475, 2015
- Akizawa T, Kurita N, Mizobuchi M, et al. PTH-dependence of the effectiveness of cinacalcet in hemodialysis patients with secondary hyperparathyroidism. Sci Rep 6: 19612, 2016
- Floege J, Tsirtsonis K, Iles J, et al. Incidence, predictors and therapeutic consequences of hypocalcemia in patients treated with cinacalcet in the EVOLVE trial. Kidney Int 93: 1475-1482, 2018
- パーサビブ®インタビューフォーム(第1版)
- Yokoyama K, Fukagawa M, Shigematsu T, et al. A Single-and multiple-dose, multicenter study of etelcalcetide in Japanese hemodialysis patients with secondary hyperparathyroidism. Kidney Int Rep 2: 634-644, 2017
- Fukagawa M, Yokoyama K, Shigematsu T, et al. A phase 3, multicentre, randomized, double-blind, placebo-controlled, parallel-group study to evaluate the efficacy and safety of etelcalcetide (ONO-5163/AMG 416), a novel intravenous calcimimetic, for secondary hyperparathyroidism in Japanese haemodialysis patients. Nephrol Dial Transplant 32: 1723-1730, 2017
- Yokoyama K, Fukagawa M, Shigematsu T, et al. A 12-week dose-escalating study of etelcalcetide (ONO-5163/AMG 416), a novel intravenous calcimimetic, for secondary hyperparathyroidism in Japanese hemodialysis patients. Clin Nephrol 88: 68-78, 2017
- Block GA, Bushinsky DA, Cheng S, et al. Effect of etelcalcetide vs cinacalcet on serum parathyroid hormone in patients receiving hemodialysis with secondary hyperparathyroidism. A randomized clinical trial. JAMA 317: 156-164, 2017
- オルケディア®インタビューフォーム(第1版)
- Fukagawa M, Shimazaki R, Akizawa T; Evocalcet study group. Head-to-head comparison of the new calcimimetic agent evocalcet with cinacalcet in Japanese hemodialysis patients with secondary hyperparathyroidism. Kidney Int 2018 Jul 20
- Kawata T, Tokunaga S, Murai M, et al. A novel calcimimetic agent, evocalcet (MT-4580/KHK7580), suppresses the parathyroid cell function with little effect on the gastrointestinal tract or CYP isozymes in vivo and in vitro. PLoS One 13: e0195316, 2018

はじめに
本邦では現時点において、シナカルセト塩酸塩(シナカルセト;レグパラ®)、エテルカルセチド塩酸塩(エテルカルセチド;パーサビブ®)、エボカルセト(オルケディア®)の計3製剤のカルシミメティクス(calcimimetics)が臨床使用可能であり、日本特有の状況となっている。一方、これら3製剤は等しく“カルシミメティクス”に分類されるものの、それぞれ異なる特徴を有している。
一般にその薬剤が分類されるカテゴリーに共通する薬理作用を、クラスエフェクト(class effect)と称する。従って、カルシミメティクスのクラスエフェクトは、標的タンパク質である副甲状腺細胞表面上のカルシウム(Ca)受容体(CaSR)の刺激を介した、副甲状腺ホルモン(PTH)分泌抑制作用あるいはその表現型である血中PTH低下作用となる(on-target effect)1)。これに対して、化学構造式、物性、薬物動態特性、剤形、投与ルート、投与頻度などの相違に起因した、個々の薬剤固有の作用をドラッグエフェクト(drug effect)と定義することができる1)。カルシミメティクス3製剤において、CaSRを介さないそれぞれ固有の作用(off-target effect)は、想定外の新規薬効もしくは有害事象に繋がる場合がある。
上部消化管障害(消化器症状)は、シナカルセトで最も問題となる有害事象であるが(図1)、そもそも本作用はカルシミメティスの宿命ともいうべきクラスエフェクトなのか、あるいは回避可能なシナカルセト特有のドラッグエフェクトなのか?この問いに対しては、ダブルダミー法を用いたランダム化二重盲検直接比較試験により有効な解答を得ることができる。幸いにも、海外においてシナカルセトとエテルカルセチドの比較試験が、本邦においてシナカルセトとエボカルセトの比較試験が実施されている。本稿では、これらの比較試験結果を基に、カルシミメティクス3製剤の消化器症状に限定したドラッグエフェクトに関して私見を交えて考察する。

- シナカルセトの消化器症状
国内治験時のシナカルセトの消化器症状(因果関係が否定できない有害事象;すなわち副作用)を図1に示す。興味深いことに、胃不快感、悪心、嘔吐の発現頻度にきれいな用量依存性が認められており、これらの症状発現は血中濃度と相関した現象である可能性を伺わせる。
2. エテルカルセチド
エテルカルセチドは、7個のD体アミノ酸直鎖N末端のD体システイン(Cys)に、L体Cysをジスルフィド(S-S)結合させた合成オクタペプチドである(図2)。従って、血液透析終了時に透析回路静脈側ルートより、週3回投与される静注カルシミメティクス製剤である。本剤はCaSRの細胞外ドメインのCys482にジスルフィド結合するが、本部位はCa2+結合サイトとは異なるため、アロステリック・アゴニストに位置付けられる。
<クラスエフェクト vs ドラッグエフェクト>
国内第Ⅲ相長期投与試験における消化器症状の副作用は、安全性評価対象190例中、嘔吐が2件(1.1%)、悪心、腹部不快感、胃食道逆流性疾患、心窩部不快感が各1件(0.5%)と殆ど認められていない。本結果から判断すると、消化器症状はカルシミメティクスのクラスエフェクトではなく、経口製剤であるシナカルセト特有のドラッグエフェクトと考えることもできる。
3. シナカルセトとエテルカルセチドの直接比較試験
海外で実施された直接比較試験における悪心および嘔吐の発現頻度は、シナカルセトで22.6%および13.8%であるのに対し、エテルカルセチドでは18.3%および13.3%であり、両製剤間で殆ど差は認められていない2)。日本人での検証が必要ではあるものの、「エテルカルセチドは静脈内に投与されるため、消化器症状を惹起しない」という考えは、科学的根拠の無い先入観であったと言えるかもしれない。
<オフターゲット vs オンターゲットエフェクト>
通常、薬剤が主薬効以外の副作用を発現する場合、非特異的なoff-target effectによるものと考える。シナカルセトのオリジンはCaチャネルブロッカーであるため、(経口投与直後では消化管内腔側で高濃度となり、特に消化管内腔側に発現している)チャネル、受容体、トランスポーターに対する作用がoff-target effectとして想定される(図2)。一方、エテルカルセチドはD体ペプチドであるため、インフュージョン・リアクション(infusion reaction)、抗原抗体反応、D体アミノ酸による未知の作用などがoff-target effectとして想定される。しかしながら構造はもとより、想定されるoff-target effectが全く異なる両製剤が、偶然にも共通して悪心、嘔吐を惹起するということは考えにくい。従って、両製剤は何れも強力なカルシミメティクスであるため、やはり消化器症状はCaSRを介したカルシミメティクスのon-target effect、すなわちクラスエフェクトの一環と考えるのが妥当と思われる(図2)。

4.消化器症状発現機序(想定)
CaSRはCa2+のセンサーのみならず、一部のアミノ酸のセンサーとしても機能している。また、CaSRは消化管の各細胞の管腔側および血管側のほぼ両側に発現しており、ホルモンやオータコイドの分泌を制御している(表1)。さらには、アウエルバッハ神経叢にもCaSRが発現しており、刺激により消化管の蠕動運動が抑制される。これらの消化管に発現しているCaSRが刺激された場合、消化液分泌亢進、消化管運動抑制、中枢性の食欲低下や満腹感が生じる。すなわち我々の体には、食事で摂取したCa2+およびアミノ酸が消化管CaSRを刺激することで、消化および吸収が亢進する合目的な機構に加え、さらなる摂食行動を中枢性に抑制するネガティブフィードバック機構が備わっているのである。
本機構と悪心・嘔吐との直接的な因果関係の証明は困難であるが、例えば長時間作用型GLP-1受容体作動薬の悪心・嘔吐発現頻度はカルシミメティクスよりも明らかに高頻度である。また古くより、透析による除水で消化管鬱血が解消されるため、透析終了後に消化管運動が亢進することはよく知られていた。シナカルセトの消化器症状は、透析日に少なく非透析日に多いことや、胃や小腸に食事の内容物が少ない眠前の服薬で少ないことは、本現象と符合する。さらには、シナカルセトは正常ラットおよび消化器症状を呈する透析患者の胃排出能を低下させる。このような考えに従えば、カルシミメティクスの消化器症状は、言わば宿命ともいえる不可避のクラスエフェクトとも思われる。

5. エボカルセト
エボカルセトは、シナカルセトと同じナフチルアルキルアミン骨格を有し、CYPによる代謝をほとんど受けずに高い生物学的利用率(bioavailability; BA)を実現し、かつCYP2D6抑制作用も有さないという代謝特性を有する(図3)1)。また、シナカルセトと比較して、複数の受容体やトランスポーターに対する非特異的作用も少ないため、本剤特有のドラッグエフェクトを示す可能性は少ないと推定される。さらには、シナカルセトと共通する構造中の塩基性アミン部分がCaSRの膜貫通ドメインの857番のグルタミン酸と相互作用により結合するため、結合部位はシナカルセトと同一部位と考えられる。

6.シナカルセトとエボカルセトの直接比較試験
国内の第Ⅲ相二重盲検比較試験における消化器症状発現頻度は、シナカルセトの32.8%に対し、エボカルセトでは18.6%と有意に少ない3)。各症状別では、エボカルセトはシナカルセトと比較して、悪心および腹部不快感の発現頻度が有意に少なく、嘔吐および腹部膨満の発現頻度にも減少傾向が認められている。またサブ解析において、両剤間の消化器症状の発現頻度は投与開始直後から差が認められること、2mg開始群においても同様の結果であること、シナカルセトの前治療歴の有無にかかわらず、エボカルセトの消化器症状発現頻度は少ないことが示されている。ここで興味深いのは、シナカルセト前治療時に消化器症状が無かった患者においても、エボカルセトで17.7%、シナカルセトで28.7%に消化器症状が認められたという点である。過去のシナカルセトのプラセボ対照比較試験において、プラセボ群で悪心(19.7%)、嘔吐(5.6%)、胃不快感(11.3%)が高頻度で認められていることも併せ考えると4)、治験の特性上、エボカルセトに起因しない消化器症状も加味されている可能性が推察される。
7.エボカルセトの消化器症状低減機序(推定)
消化器症状はカルシミメティクスの不可避ともいえるクラスエフェクトと思われたが、エボカルセトでは軽減されていることが臨床において証明された。また基礎試験においても、エボカルセトはラットの胃排出能に影響せず、マーモセットにおける嘔吐マージン(安全域)は、シナカルセトの3倍に対して10倍と3倍以上に拡大されている5)。すなわち、消化器症状はシナカルセトおよびエテルカルセチドのドラッグエフェクトであったと言うことも可能である。それでは、何故、エボカルセトは消化器症状を低減することができたのであろうか?考えられ得る機序を列挙する。
(1)構造に起因するoff-target effectの少なさ
エボカルセトでは、シナカルセトの直鎖構造部分が五員複素環のピロリジンに置き換わっていることより、リジッドな構造となっている(図3)1)。そのため、直鎖構造部分が回転するシナカルセトに対して、エボカルセトは各種受容体、イオンチャネル、トランスポーターへの作用は低い。特に化学受容器引金帯(CTZ)に発現しているドパミン、セロトニン、ニューロキニン受容体に対する作用がほとんど無いことも示されている。CTZの活性化が嘔吐中枢を興奮させて嘔吐発現に至る経路が存在するため、脳血液関門の外側に位置するCTZの各受容体に対する作用が無いことは、エボカルセトの消化器症状が少ない理由の一つとして考えることができよう。
(2)BAの高さに起因する経口投与量の少なさ
ヒトにおいて、エボカルセトはシナカルセトよりも約4倍高いBAを有する。その結果を反映し、第Ⅱ相二重盲検用量反応試験において、シナカルセト25mgとエボカルセト2mgが同程度の血中PTHおよびCa低下作用を示す(用量換算比;12.5:1)。従って、エボカルセトの経口投与量はシナカルセトよりも1/10以下で良いこととなり、経口投与後の消化管内腔側のCaSR刺激作用は自ずと低いものとなる。
(3)吸収速度が速く、シナカルセトよりも低活性
透析患者における単回投与時の血漿中薬物濃度の比較では、シナカルセト50mgでの最高血中濃度(Cmax)は18.5ng/mLであるのに対し、エボカルセト4mg(用量換算比;12.5:1)では210ng/mLと10倍以上である(図4)6,7)。その後もエボカルセトの血中濃度はシナカルセトの約10倍の高値で推移している。また、シナカルセト50mgの最高血中濃度到達時間(Tmax)は6時間であるのに対し、エボカルセト4mgでは4.1時間と約2時間短い(図4)6,7)。従って、エボカルセトのCaSRに対する活性は、シナカルセトよりも低いことに加え、エボカルセトはシナカルセトよりも速やかに吸収されることが読み取れる。以上より、エボカルセトはシナカルセトと比較して、経口投与量が1/10以下であり、CaSRに対する活性は弱く、さらに速やかに吸収される結果、消化管内腔側のCaSR刺激作用が少なく、かつ短時間であると推定される。本結果はエボカルセトの消化器症状低減理由の大きな部分を占めると思われる。

8.エテルカルセチドの消化器症状と投与タイミング
ここまで考えると一つの疑問が生じる。静脈内投与されるために消化管内腔側CaSRを刺激することが無いエテルカルセチドが、何故、シナカルセトと同程度の消化器症状を示すのであろうか?エテルカルセチドは静脈内投与直後の血中濃度は著明高値となり、その後も血中濃度は高値で維持されるため、消化管血管側のCaSR刺激作用はシナカルセトよりも顕著であると推定される。しかしながら、エテルカルセチドの消化器症状がシナカルセトよりも多くならない理由の一つとして、エテルカルセチドは消化管運動能が亢進している透析直後のタイミングで必ず投与されるからではないかと考えることができる。
おわりに
今回、三段論法さながらの私見を交えて、カルシミメティクス3製剤の消化器症状に対する作用を考察した。カルシミメティクスの消化器症状はクラスエフェクトのように一時は思われたが、薬物代謝特性でそれを低減可能にしたのがエボカルセトであると言える。詳細な基礎試験に加えて、日本人透析患者を対象とした、エテルカルセチドとエボカルセトの厳密な直接比較試験が明らかに必要である。
文献
1) 永野伸郎、伊藤恭子、筒井貴朗:カルシウム受容体作動薬(calcimimetics)におけるクラスエフェクトとドラッグエフェクト.腎と透析 85: 451-455, 2018.
2.) Block GA, Bushinsky DA, Cheng S, et al: Effect of etelcalcetide vs cinacalcet on serum parathyroid hormone in patients receiving hemodialysis with secondary hyperparathyroidism: a randomized clinical trial. JAMA. 317: 156-164, 2017.
3) Fukagawa M, Shimazaki R, Akizawa T; Evocalcet study group.: Head-to-head comparison of the new calcimimetic agent evocalcet with cinacalcet in Japanese hemodialysis patients with secondary hyperparathyroidism. Kidney Int. 94: 818-825, 2018.
4) Fukagawa M, Yumita S, Akizawa T, et al: Cinacalcet (KRN1493) effectively decreases the serum intact PTH level with favorable control of the serum phosphorus and calcium levels in Japanese dialysis patients. Nephrol Dial Transplant. 23: 328-335, 2008.
5) Kawata T, Tokunaga S, Murai M, et al: A novel calcimimetic agent, evocalcet (MT-4580/KHK7580), suppresses the parathyroid cell function with little effect on the gastrointestinal tract or CYP isozymes in vivo and in vitro. PLoS One. 3;13: e0195316, 2018.
6) Ohashi N, Uematsu T, Nagashima S, et al: The calcimimetic agent KRN 1493 lowers plasma parathyroid hormone and ionized calcium concentrations in patients with chronic renal failure on haemodialysis both on the day of haemodialysis and on the day without haemodialysis. Br J Clin Pharmacol. 57: 726-734, 2004.
7) Shigematsu T, Shimazaki R, Fukagawa M, et al.: Pharmacokinetics of evocalcet in secondary hyperparathyroidism patients receiving hemodialysis: first-in-patient clinical trial in Japan. Clinical Pharmacology: Advances and Applications. 10: 101-111, 2018.

1. QT延長症候群とは
QT延長症候群とは心電図のQT時間が通常よりも長くなる一連の病態、原因を包括した表現である。QT時間は心室筋活動電位持続時間に一致するが、その心収縮後の再分極が遅延することによって、Torsades de Pointesに代表される致死性の心室頻拍の発症リスクを高める病態を意味する。その原因は大きく先天性と2次性に分けられる。この章では2次性にスポットを当て、透析医療の現場で遭遇するどのようなことがQT延長を招き、致死性不整脈、ひいては心臓突然死のリスクを高めているかについて触れてみる。
2. 2次性QT延長症候群の原因
表1に示す通り2次性にQT延長を来し致死性不整脈を起こした報告は多岐にわたる。大きく1)薬剤性、2)電解質異常、3)代謝異常、4)心疾患、5)徐脈、6)中枢神経疾患に分けることができる。また特に高齢の女性に生じやすいことも留意すべきである。この中でも、近年の透析医療に深くかかわるQT延長症候群と低Ca血症について概説する。

3. QT間隔
一般にQT時間の計測は、QRS波の開始点からT波終末点を計測するが、QRSの開始点は比較的わかりやすいが、一方でT波の終末点の同定は容易ではない。実臨床の現場でのT波の終末点の決定法は、医師や技師による目視によるものと、コンピューターによるデジタル認識法による。心電計による自動計測法としては1)折線法、2)微分法、3)閾値法などがある。現在でもQT延長か否かの判断は、“熟練者の目”に頼るところが大きい。QT時間に最も影響を及ぼす因子として心拍数がある。したがって、その延長の有無はBazettの式(QTc=QT/√RR)により心拍数の平方根で補正したQTcで判断するのが一般的である。基準値は以下に示すとおりである。
QTc(男性):350msec ~ 440msec
QTc(女性):360msec ~ 450msec
また補正方法により、Bazettの式の場合QTcBと、Fridericia 補正法の場合QTcFと表記されることがある。現在多くの心電計は自動でQTcが計測されてきている。個人的意見ではあるが、この自動計測値は基本的に信頼し実用してよいと考えている。ただし最終判断は医師の確認が必要であることを忘れてはならない。
4. 低Ca血症とQT延長症候群
定常状態の心筋細胞の静止膜電位が陽性に荷電し心筋興奮をきたす過程は、心筋細胞へのNa流入、Caの流入、心筋細胞からのK放出という順のプロセスを経て起こる現象である。簡単に解説すると心筋細胞内へのNa流入は脱分極を誘導し、これは12誘導心電図のQRS波に相当する。その後活動電位の維持、すなわちプラトー相維持のために心筋細胞内にCa流入が起こり、この部分が12誘導心電図のST部分に、その後のK放出により電位が下降し再分極相を形成する。12誘導心電図ではT波以降を反映すると言われている。低Ca血症ではCa流入の際に働く電位依存性Caチャネルが開きにくくなり、Ca流入に時間を要することになる。すなわち、ST部分が延長することによるQT延長をきたす。T波が平坦化し幅広くなることでQT延長を示す低K血症とは明らかに異なる。図に典型例を示すが、ST部分が顕著に延長している事が分かる(図1)。

5. 低Ca血症と突然死
透析患者や慢性腎臓病患者を含む住民健診データにおいて、血清Ca濃度が低いほど、心臓突然死と関連することが報告されている1)。また我が国の維持透析患者レジストリーデータにおいて、血清Ca値と予後の関連を見た解析結果2)では、時間平均モデルでの解析においてのみ、Ca8.51-9.0mg/dLの患者の死亡リスクを1としたとき、Ca値8.5mg/dL以下では有意に死亡リスクが高くなる関連が見いだせることを報告している。ただし、この解析は致死性不整脈を想定させる突然死との関連ではなく、総死亡との関連であることを忘れてはならない。こういった報告をつなぎ合わせると、低Ca血症によりQT延長が誘導され、心臓死につながっていると解釈できなくもない。
6. 透析患者とQT延長症候群
透析患者では高頻度にQT延長を合併する。上海からの報告では、透析前12誘導心電図において、QT延長を男性>440ms、女性>460msと定義したとき、検討した血液透析患者141例中、約65%がQT延長と診断されている。また、OTc計測を目的とした研究ではないが、宮崎県のコホート研究において、平均透析歴7年前後の維持血液透析患者474例の安静12誘導心電図でのQTcは中央値で約440msecであり3)、また我が国の透析導入患者208例のQTc中央値は、約460msecであると報告されている4)。いずれも、上述した正常上限値に近い値が中央値に相当しており、QT延長と診断される症例が多く潜在すると推察される。参考までに、健常人、薬剤誘発性QT延長の症例、先天性QT延長症候群の症例の、それぞれの通常状態での平均QTcは406、453、478msecと報告5)されており、末期腎臓病患者の値は先天性QT延長症候群の値とそれほど変わらない事が分かる。
7. 透析患者におけるQTcと心臓突然死
930例(16%は非透析患者)の末期腎臓病患者を対象に、腎移植前の検査として行った12誘導心電図におけるQTcと総死亡との関連を見た研究がある6)。QTc450msec以下の患者の死亡リスクを1とした時、450msecを上回る患者では約1.7倍死亡リスクが高いことが示されている。しかしながら維持透析患者においてQTcが心臓突然死と関連することを証明した論文は限られている。ホルター心電図からのQTcと死亡との関連を調査したイタリアからの報告7)では、一つの傾向が見いだせる。生存透析患者、非心血管死患者、突然死を除く心血管死患者、突然死患者の順に登録時のQTcが延長する関連が男性、女性ともに認められている。したがって、透析患者に高頻度に認められるQTc延長は心臓突然死を含む死亡の予見因子となりうる可能性がある。
8. 血液透析療法とQT延長
(1)透析液とQT延長
日本透析医学会の統計調査の報告では、透析後の血清K値が3.5mEq/L未満の患者が40%以上存在する。本日のテーマは、低Ca血症であるが、透析後に下がって当たり前と考えている、下がるほど良いとも考えがちであるKは、QT延長を誘導し、透析後の致死性不整脈発症に関連している可能性は否めない。透析液のCa濃度、K濃度と透析中のQT時間を検証した報告がある8)。透析液K濃度2および3mmol/L、Ca濃度1.25、1.5、1.75mmol/Lのそれぞれの組み合わせで血液透析を行った時のQT時間の変化を検証している。図2に示す通り透析液Ca濃度が下がるほど、また透析液K濃度が下がるほどQT時間が延長していることがわかる。すなわち透析医療に携わる者は透析液の組成によりQT時間が変化し致死性不整脈につながるリスクが変化していることを認識していなければならない。

(2)カルシウム受容体作動薬とQT延長
カルシウム所様態作動薬はCa低下を介してQT延長を招く。周知のごとく、我が国で使用可能である、シナカルセト、エボカルセト、エテルカルセチド、いずれもCa低下とQT延長を重要な事象としてとらえ、十分に配慮し使用することを注意喚起している。小規模な研究であるがシナカルセトの使用容量が増加とベースラインからのQT延長変化の間に正の関連が認められることが報告されている9)。ただしこの延長は最も延長した症例でも20msecにとどまっており、それほど危険な延長を認めていない。一方で症例報告10)では、paricalcitol併用下でシナカルセトを60mgから90mgまで増量後にイオン化Ca値0.71mmol/L、著明なQT延長(心電図上500msec以上と推定)を認めtorsades de pointes(トルサデポアン)発症に至った報告がなされている。
(3)血液透析前後のCa変動と心臓突然死
透析前の患者のCa値と透析液のCa濃度のギャップが大きいほど、突然の心停止のリスクが高くなることも報告されている11)。この論文では、透析液Ca濃度が2.5mEq/L未満、透析前補正Ca値が高いほど、突然の心停止と関連することを示している。興味深いことに、透析前Ca値と透析液Ca濃度のギャップが大きいほど、具体的にはこのギャップが1mEq/L上昇するごとに1.4倍心停止と関連するとしている。残念ながらQT延長については検討していないが、透析中の急激なCa変動とQT延長からの不整脈発症と関連つけたくなる結果である。実際に、透析中の血中K、Ca濃度の変化とQT時間の変化には負の関連が認められることが報告されている(図3)。

おわりに
透析診療とQT延長とCa動態は切っても切れない関係にある。今後、定時の12誘導心電図では、今までのようにただST-T変化を見て左室肥大や虚血性心疾患を鑑別していた時代から、QTcが経過とともにどのように変化していくかを検討する時代になるかもしれない。あるいは心電図を行う時間帯も透析前後で意識しなければならないのかもしれない。参考までに循環器学会のガイドラインでは、絶対値としてQTc500msec以上、変化として60msec以上の延長が認められたとき、臨床上大きな注意を払う必要があることを強調している。今後、透析診療の現場からもQT延長にかかわる多くの研究が生み出されることに期待したい。
文献
1) Yarmohammadi H, et al. Serum Calcium and Risk of Sudden Cardiac Arrest in the General Population. Mayo Clin Proc 2017, 92(10):1479-1485.
2) Taniguchi M, et al. Serum phosphate and calcium should be primarily and consistently controlled in prevalent hemodialysis patients. Ther Apher Dial 2013, 17(2):221-228.
3) Sato Y, Hayashi T, Joki N, Fujimoto S. Association of Lead aVR T-wave Amplitude With Cardiovascular Events or Mortality Among Prevalent Dialysis Patients. Ther Apher Dial 2017, 21(3):287-294.
4) Matsukane A, Hayashi T, Tanaka Y, Iwasaki M, Kubo S, Asakawa T, Takahashi Y, Imamura Y, Hirahata K, Joki N et al. Usefulness of an Upright T-Wave in Lead aVR for Predicting the Short-Term Prognosis of Incident Hemodialysis Patients: A Potential Tool for Screening High-Risk Hemodialysis Patients. Cardiorenal medicine 2015, 5(4):267-277.
5) Itoh H, et al: The genetics underlying acquired long QT syndrome: impact for genetic screening. European heart journal 2016, 37(18):1456-1464.
6) Flueckiger P, et al. Associations of ECG interval prolongations with mortality among ESRD patients evaluated for renal transplantation. Ann Transplant 2014, 19:257-268.
7) Genovesi S, et al. A case series of chronic haemodialysis patients: mortality, sudden death, and QT interval. Europace: European pacing, arrhythmias, and cardiac electrophysiology: journal of the working groups on cardiac pacing, arrhythmias, and cardiac cellular electrophysiology of the European Society of Cardiology 2013, 15(7):1025-1033.
8) Genovesi S, et al. Electrolyte concentration during haemodialysis and QT interval prolongation in uraemic patients. Europace : European pacing, arrhythmias, and cardiac electrophysiology : journal of the working groups on cardiac pacing, arrhythmias, and cardiac cellular electrophysiology of the European Society of Cardiology 2008, 10(6):771-777.
9) Temiz G, et al. Effects of cinacalcet treatment on QT interval in hemodialysis patients. Anatol J Cardiol 2016, 16(7):520-523.
10) Novick T, et al. Cinacalcet-associated severe hypocalcemia resulting in torsades de pointes and cardiac arrest: a case for caution. Eur J Clin Pharmacol 2016, 72(3):373-375.11) Pun PH, et al. Dialysate calcium concentration and the risk of sudden cardiac arrest in hemodialysis patients. Clin J Am Soc Nephrol 2013, 8(5):797-803.